« CITROHAN.net | メイン | 断熱パネルとはどういうものか »

OS

card
Be-h@us はこの数ヶ月間で大幅な変貌を遂げた。
部材マニュアルとその価格公開から程なく、施工マニュアルと Be-tools という設計支援ツールを、ウェブからダウンロードが可能になったのだ。これで Be-h@us の基本的骨格の全てが公開されたことになる。
このような方向、システムの全てを公開しようという考えはあったが、この夏、Be-h@us がオフラインで多くの人の目に触れるであろう OZONE の企画に参加するという機会に、一気に乗越えてしまった。
価格公開でさえかなりの抵抗、工務店という作る側からあり、マニュアルの公開は製造する側からの心配を聞くこととなる。もう、なにも隠れているものはないし、隠すものもなにもない。その上でなにがありえるのか。
「Be-h@us は集成材・金物・パネルの新しい木の家の作り方です」から「OPEN で FREE な木の家の作り方です」と云えるようになったと思える。
-------
Be-h@us というシステムは、ある意味でコンピュータの OS(オペレーティング・システム)に近いと考えている。
Be-h@us という一戸の住宅を現実に作るということは、その OS に基づいたアプリケーションの一つなのである。工業化された木造軸組工法としての Be-h@us システムは一戸一戸の住宅を規定するものではなく、基本的な仕様「工業化された集成材・金物・パネル」を規定しているのに過ぎない。
Be-h@us の全て、価格・マニュアル・ツールを公開するということは、多くの人達と一緒にコンピュータの OS のように、それを鍛え上げていこうという企みなのだ。あのリナックス(Linux) のように。
公開された価格、マニュアル、ツールは、インターネット/ネットワーク上に多くの他者と共有したいと考えている。それらのアプリケーションを作りだし、OS をより使いやすい形に改良し、新しい機能を追加したりという動きを作りだしたいと考えている。それは「家の作り方」という「共有知」をネットワーク上に構築していけるのではないかと考えているのだ。
この「共有知」は伝統的地域共同体に特有のものである。本来「家の作り方」は、地域的な伝統的な世界の「共有知」であったはずのものである。その「家の作り方」はその共同体の消滅と同時に消えてしまった。それにとって変ったのが、ハウスメーカー、工務店という経済行為としての存在である。そして現在の家の作り方は「共有知」というよりも身勝手なものにすり替わってしまったのである。
インターネット上のネットワークという最新鋭と伝統的地域共同体というネットワークは、まったく関係のないように考えられるが、情報ということについては大変似通っている。そのネットでの情報の伝わり方は、経済関係によるものでないし、上下関係や契約関係によるものでもない。基本的には各個々の自発的な情報が互 いに誘発して形成し、その情報は十分に共有され、それは全体の組織体の「共有知」として形成されていく。
------
現在の資本主義経済システムにおいては企業間の競争を基盤とする。「情報の独占と縄張り」が経済活動の推進力であるから、社会全体としての「共有知」は決して形成されることはない。特に Be-h@us のような合理化工法として認定された木造住宅工法は、通常このように公開されることはなく、その膨大な開発費、宣伝費を賄うためフランチャイズ方式といった資本主義経済システムの上で独占的な使用権と縄張りの売り買いがなされるのが普通の世界である。
伝統的地域共同体に代るインターネット/ネットワークの世界こそが、新しい「共有知」を形成していく場になるであろう。
Be-h@us は、個々人の自由を立脚点にして、他者への信頼と共感をよりどころに、互いの知識や経験を共有したり交換していく。それは大きな流れとなっていくであろう。又、それは、リナックスと同じように従来の経済的な活動を否定したり排除するものではない、周辺部でそれを認めて共存していく。それはいままでの経済活動としての「家の作り方」の方向性も大きく転換させる可能性をもっている。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.be-works.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/14